土と木の中で、人は育つ。

鎌倉は海と山が近く、風が通り、自然と暮らしが重なっている場所です。
ここで暮らしながら設計を続けていると、人の身体は自然とつながろうとしているのだと感じます。

人は建物の中で、多くの時間を過ごします。
けれど、建物が身体にどのような影響を与えているのかは、あまり語られてきませんでした。

私自身、人工的な環境の中で体調を崩した経験があります。
そのとき初めて、環境が身体に与える影響を強く実感しました。

素材、空気、光、温度、湿度。
人はそれらを、言葉にすることなく感じ取りながら暮らしています。

都市は便利で合理的ですが、身体は長い時間自然の中で育ってきました。
木や土のように、時間を経て淘汰を生き残ってきた素材には、身体が無意識に構えない性質があります。

温度や湿度、光、空気の流れが整うとき、呼吸は深くなり、神経は静かに整っていきます。

私が目指しているのは、自然素材そのものではありません。
身体が信頼できる環境です。

建築は素材だけで完成するものではありません。
木を育てる人、土を扱う職人、つくる大工、そして住まう人。
多くの人の時間が重なり、建物は少しずつ形になっていきます。

住まいは完成した瞬間が終わりではなく、
住む人の暮らしとともに育っていくものだと思います。

建築が人の身体に静かに寄り添い、
長い時間をともに過ごせる場所であること。

そのような住まいを、
一つずつ丁寧につくり続けていきたいと思っています。

ATELIER YUIM