Atelier Report

2019.09.14 研修レポート

尾鷲の山視察 [後編]

尾鷲の山ツアー後編です。

お昼ご飯を食べながら、畦地さんと色々な話をしました(山の話から身の上話まで^^)

畦地さんはとても聡明な方で、かつ、お話がしやすい人でした。

気がついたら1時間以上も話し込んでいました。

さて、午後は競り市場からのスタートです。

丸太がたくさん並んでいます。

丸太を購入する際には、断面を見て木を選びます。

「目利き」たちは、知識、経験を総動員しながら、木を触ったり眺めたり…

(昔の人に多いそうですが)ときには繊維をかじったり…

そうして購入する木を選ぶんだそうです。

丸太の見分け方を伺いながら、目利きの人たちは断面を見て、立木だった際に木が見た景色や生きてきた環境を、とても細かく感じ取っているんだなぁ、と感じました。

ちなみに丸太の見分け方はどんなものがあるかというと…

虫喰い・死節・腐り・背と腹などなど…があります。

市場にはたくさんの木が山積みにされていましたが、この中で買うに相当する木は見当たらないなぁ、

と畦地さんはおっしゃっていました。

おそらく一本一本見なくてもわかるのでしょう。

また市場には杉と檜が区分けされて積まれています。

尾鷲というと、どちらかといえば檜が有名です。

ただ、僕も畦地さんも杉の方が興味の対象!!

ここにいた時間の9割は、杉丸太の近くでした!

そして、興奮冷めぬまま、次へ移動です。

次は加工場です。

写真はフローリングのさねを作る機械です。

番号が振ってあって、その順番にセットをしていきます。

左から流れていき、右から出てくるころには、フローリング加工されて出てきます。

そして次に見学しに行ったのが、畦地さんの製材場。

ここでは、皮をむいた後の丸太を、板状に加工していきます。

そして、釜で乾燥させます。

畦地さんのところでは、「愛工房」を使っています。

低温で乾燥させることで、杉が持っている精油分を十分に残しながら、含水率を落とします。

残念ながらこの日は稼働していませんでしたが、サウナのように中に入れるそうです。

木材がサウナで余分な水分を飛ばすなんて…

木が生きている感じがします。

建材をみるときの目が明らかに変化していくことを感じました。

特にフローリング材を見たときの感じ方は顕著です。

どこの山からどんな風に扱われてここへやってきたか、を想像するようになりました。

これはとても大切なことです。

床だけではなく、建物全体に言えることだと思います。

さらに自然乾燥させているところ。

今回のツアーでたくさんの学びがありました。

60年以上前に、山に木を植えた人たち

そして管理してきた人たち

伐採する人たち

目利きする人たち

加工する人たち

運ぶ人たち

建てる人たち…

そうやって住まいは建てられています。

昔見た映画の「いのちの食べ方」

を見たときと似た気づきがありました。

僕たちは木に生かされているんだなぁ…

そう思ったとき、もっともっとこの杉や山に関わる仕事をしたいと感じるようになりました。

今後、杉のためにできることをしていきたいと思います。